「ふぅ、やっと片付いた…」枝で召喚されたモンスターを一通り処理し終えたオレは、地面に腰を下ろす。 (しかしまぁ…皆さん随分と枝運がよろしいようで…)出てきたモンスターを思い出しつつ苦笑する。 (ゴスリン、アクエン、サキュにインキュに深淵様…)やめよう、思い出しただけでも欝になる…。 「でも何でオレ普通に弓使えたんだろう…」ふと思い出し、オレは疑問に思う。 弓はゲーム中とほぼ同じレベルまで使いこなせている、必中クラスの敵には完全に命中していた。 罠もスキル別の組み立て方や発動のさせ方まで熟知していた。 DSが使えたのはまだ納得できるにしてもCAは…ありゃ人間技じゃないよな絶対…。 ASは試す機会が無かったのでやらなかったが多分あれも出来るんだろう…。その時だった。 「キャーーーーーーーーーーーーーー!!!」突然絹を引き裂くような女性の悲鳴。 「な、なんだ!?Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)」一瞬で思考を打ち切られ、オレは素早く辺りを見回す。 そこには、恐らくインティミデイトで飛んだのであろう「彷徨う者」が一人のアチャ娘に狙いを定めていた。 (まずいな…このままじゃ殺られる…かといって禿弓なんて持ってねぇし…ん?) そこでオレは違和感を感じた。彷徨う者がアチャ娘に「じりじりと」間合いを詰めているのだ。 (つまり…その辺はゲームとは違うってことね…なら!!)そう判断した瞬間、オレは覚悟を決める。 (幸いヤツはこちらに気付いていない…ヤツが振り返るまでが勝負だ!) (まずはフラッシャー、そしてアンクルスネア…っと、よし…)準備が整った所で俺は大声で叫ぶ。 「行け!ファルコン!!ブリッツビィィィィィィト!!!」 ファルコンに攻撃命令を下し、彷徨う者の意識をコチラへと向けさせる。 彷徨う者がコチラへと気付き、それと同時にファルコンが攻撃を開始する。 ファルコンの攻撃が終了し、彷徨う者がコチラへと駆け寄ってくる。 オレは罠がセットされている事を悟られないよう、すぐさまオレは弓を構える。 (あと推定3セル…2セル…今だ!!) ピカァァァァァァァァァ!! フラッシャーが発動し、彷徨う者の視界が奪われる。 そして駆け寄っていた惰力でそのままアンクルスネアに掛かる。よし! (これで必中Hitはだいぶ下がったハズだ!!) ※マメ知識:フラッシャー)一定時間対象を20%の確率で暗闇状態にし、同時にHitとFleeを25%低下させる。 「ダブルストレイフィング!!」 銀矢しか持ってなかったので威力はあまり期待出来ないが、それでもかなりのダメージを与えたハズ。 (チッ!さっきの戦闘でSPをほとんど使い切ってたのか…右手が攣ってきてやがる…) 仕方が無いのでフラッシャーの効果が切れるまでの間、ひたすら連射する事にする。 「周りの皆!援護頼む!!」オレはそう叫ぶと再び矢を放つ…しかし。 (クッ…やっぱりLv1じゃ数秒しか持たないか…)フラッシャーのスキルLv自体が低い為、 長時間暗闇状態にする事は出来なかった。 「ヤバいな…」もう既にSPは枯渇したと見ていいだろう。 オマケにもう一度フラッシャーを使った所で20%に命を賭けるのは正直危険過ぎる。 (何か…何か手は無いのか…っ!!)焦りだけがどんどんと増えていく…その時だった。 (ガシャン!!)彷徨う者を拘束していたアンクルスネアが解除される…ヤバい…非常にヤバい…! 「くそぉっ!!」もう迷っているヒマは無い。加勢も期待出来ない以上オレがやるしかない。 まだアチャ娘はオレの後ろで腰を抜かしている、ここで逃げちまったらそれこそ寝覚めが悪いってもんだ。 「ゲーム上じゃ絶対不可能だが…ここでなら!!」 オレは「軽いバックステップをしながら」矢を放つ。 もちろん必中Hit286を要する彷徨う者相手にマトモに当たるだなんて思っちゃいない。 要はこちらが相手の攻撃に当たらなければいいのだ。 それに彷徨う者は確かDEFも低くHPもそれほど高くないハズ…長期戦さえ避ければ勝機はある!! 彷徨う者が素早く間合いに入り込み居合いを放つ。オレはその一瞬の間に弓でそれを受け止めつつ 防御時の衝撃を利用して後ろに下がりながら矢を放つ。 (はぁ…AGI型でよかった…)どうやら反応速度はかなりのものらしく、これなら避ける事は出来なくても 受け流す事は十分可能だ。最も怖いのは弓の耐久力だが…。 敵が1回攻撃する間に、オレは3発の矢を放つ。手数ではこちらが押しているのだがいかんせん当たらない。 なにせこのキャラ(=今のオレ)のHitは限界まで高めても自己最高Hitはせいぜい230。 必中までの56の差は正直嫌になるくらいデカい。 (クッ…このままじゃオレの体力の方が持たねぇ…)若干息切れを感じつつも攻撃の手は緩めない。 (そろそろ限界か…)そう思った、その時だった。 「ダブルストレイフィング!!」さっきのアチャ娘が加勢してくれた。しかし… (ヒュヒュッ!)やはり所詮は一次職、アッサリとかわされてしまう。 しかし、今のDSで気を取られたのか、若干のスキを見つける。 (今だっ!!)オレはありったけの気力を振り絞り、次の一撃に全てを賭ける…!! 「ダブルストレイフィング!!」これが最後の一発だ…!!(厳密には二発だが 正直これが外れたらもう手の打ち様が無い。 アチャ娘もそれを察したのか、オレのDSと同時に彷徨う者の足元にめがけて矢を放つ。 「タッ!「ババンッ!!」」勝負は一瞬でついた。 一発はアチャ娘の放った矢がかわされて地面に突き刺さる音。 その一瞬後の二発はオレのDSが「命中した音」…。 (どうだ…)正直これで死んでくれなきゃ二人ともオダブツだ。 やけっぱちで撃った矢なので正直急所に当たっているという自信も無い。 彷徨う者は硬直したまま動かない… (ダメか…)そう思ったその時、僅かだがヤツの体から煙が上がっている事に気づいた。 煙はやがて全身を駆け巡る炎となり、彷徨う者の全身を焼き尽くしていった。 「………………ふぅ。」完全に灰化したのを確認してから数秒後、オレはようやく深いため息をつく。 危なかった…「死」というものをここまで深く感じたのは生まれて初めてだった。 だが、まだ終わりじゃない。オレはアチャ娘の下へと歩み寄る。 「…ふぅ、大丈夫だったか?」見た感じ特に大きな外傷は無いようだ。 「は、はいっ…ありがとうございました…。」アチャ娘も極度の緊張から開放されたためか、完全に脱力している。 「そっか…」そう言って俺は安堵と疲労の為か、意識を失った…。 〜あとがき〜 さて、前回のSS投下から約1年、既に過去の遺物となりました「ネタ罠ハンタ、ここにあり」作者です。 いちおー続編として書いてみたのですが…なにこのシリアス&緊張感の無い戦闘シーン('A`) 普段のオレのプレイスタイルじゃ絶対ありえないであろうこのシチュエーション…軽く自己願望入ってますw さて、ウンバラ・ニブル・龍の城・アユタヤ・転生・アインブロク・nPro実装と物凄い時間が経過していますが サスガにこれだけの変化を一気に加えるのはサスガに危険と判断し、今回は見送る事にしましたw 次回書くことがあればそちらも反映させてみたいかな〜?とか思っています。 ちなみに作中に書かれていた「自己最高Hitは230がいいところ」ですが、実はこれ… 1話では「Lv84・当時最高Hit201」でしたw 230は今書いてる段階での数値だったりします^^; こうして考えると色々あったんだなぁ、などと考えてしまいます。 どうやらBOT蔓延に完全に嫌気が挿す〜nPro導入〜BOT復活の中、 スレ上でもかなりの人が引退してしまったようですね…(´・ω・`) 私は普段あまりソロ狩りをしないせいか、BOTと言われてもあまりピンと来ないのですが 伊豆DやFD、コモド北とかは結構悲惨な事になってるみたいですねぇ… でもまぁ、私は普段から雑談かトーキーで遊んでるかしか やってないのであんまり関係無いんですけどねっ!ヾ( ゚Д゚)ノ それでは、次回はいつになるかわかりませんがこの辺で〜(´・ω・`)ノシ