再誕 - Ragnarok Online - --- (2) --- 2020年6月 NTI社はリアル・ネットワーク・アミューズメントの第一弾として「Ragnarok Online for Real」を発表。 これはNIT社が独自に開発した、人間の体に微弱のパルスを流す事により触覚や刺激(温度や痛覚等)を再現する「生体パスル技術」と。 実際の物質空間に立体映像を紛れ込ませる(例えばカップの中にコーヒーの立体映像を投射する)「リアル・バーチャル技術」を使用する事により、 空想・架空の世界を現実空間に持ち出してしまおうと言う、 まさに前代未聞の試みだった。 そしてその第一弾としてステータスやスキル、職業等のゲームシステムが比較的簡単であり、 且つ、これまで登場したオンラインゲームの中で人気が高かったラグナロクオンラインに白羽の矢が立ったのである 無論、この試みはメディアの間で賛否両論に別れ激しく取り立たされる事となる。 「安全性は本当に大丈夫なのか?」「子供達への影響は?」果ては「そのような夢物語みたいな話が本当に可能なのか?」 数多くの疑問視する声にNTI社が出した答えは。 「自社の所有する島を丸ごとその舞台とし、世界中からテストプレイを希望する健全な成人男女一万人を募り、安全性を証明する」 と言うものだった。 そしてその募集枠の内の3千人は、以前のラグナロク・オンラインのユーザーから募集される事となった。 「Ragnarok Online for Real テストユーザー募集のお知らせ」 このニュースをダイレクトメールで知った時、僕は一にも二にも無くテストユーザーへ応募した。 勿論以前僕たちの遊んだゲームをもういちどプレイしてみたいと言う気持ちも有ったが、 何より大学で電子工学を専攻していた僕にとって、NTI社の持つ技術を体験してみたいと言う欲求と。 もしかしたら、これを機会に一大企業であるNTI社に就職出来ないかという甘い算段が頭の片隅にあったのかもしれない。 何はともあれ、僕は早速このテストユーザーの募集に応募し。 10万人の応募があったとされる3千人の枠に、偶然にも入る事が出来たのである。