『今日は発光式だった。 元々はパーティーを組む為のキャラだったけど、いつの間にか組む為のパーティーがなくなってしまっていた。 相方だけは今も一緒に居てくれているのが有難い。 そんな相方とも一緒に発光出来た。 とりあえず転生だけしておいた。 明日からまたノビだけど、頑張る。』 今見ているのは、俺のブログ。 今覗いている媒体は、あっちの世界でいう携帯電話のようなもの。こちらの世界では何と言うかはわからない。 あっちの世界というのは、現実世界。 俺が今居る、こっちの世界は…ラグナロクオンラインの世界らしい。 話は俺の記憶で24時間程さかのぼる。 俺は寝ていた。 趣味が昼寝ということと、今年の春から新社会人となって働き始め、心身共に余裕がなかった事もあってか この心地良い眠気に抵抗する気は全くなかった。 ざああ…といった木の葉の擦れる音や、鳥の鳴き声や、ぽよんぽよんと言った何かが弾む音さえ 心地良く響いていた。 陽射しが目に眩しい。寝返りを打つ。 遠くから喧騒が聞こえる。 ほとんどは言葉が聞き取れなかったが、その中のひとつの声がこちらに向けられている事はわかった。 「あー、いたいた・・・寝てるし」 その声の主はだんだんと近づいてくる。 「こらー、起きろー」 やや甲高い、少女の声のように感じられた。 しかし、俺には俺を起こしに来てくれるような、そんな知り合いは居ない。 「むー…どうやっても起きない気か。よし」 そんな掛け声と共に、お腹に触られた…というよりも、掴まれた感触を受けた。 「どりゃぁぁぁっ!」(すぱーん) …転がされた。 そこまでされて起きないわけにはいかない。 やや目を回しつつも、その少女の方に顔を向けてみる。 やはり知らない少女だ。 その上、服装も全く知らない…事もないが、ほとんど見ないであろう服装だった。 その少女は、胸当てのようなものを上半身に着、下半身はハーフパンツのようなものを履いている。 色は、全体的に青みがかっている印象を受ける。 とりあえず俺は、即座に浮かんだ疑問をぶつけてみることにした。 ──えーと、誰? 少女は含み笑いをしながらその問いには答えず、あえて違う言葉を返した。 「やっと起きたかな?しずぴー」 "しずぴー"は、ラグナロクオンラインの中で、相方だけが俺を呼ぶ時に使う呼び名だ。 ──と言うことは… 彼女は、手を差し伸べて、 「ラグナロクオンラインの世界へ、ようこそ」 とだけ言った。