―何かが立てるシュンシュンという音が耳につく。 目の前が暗い…眠っていたのか…? 今何時だろう… 時計を見ようと目を開けるとそこは見慣れぬ畳部屋だった。自室でもなければ友人宅でもない。 部屋の真ん中には囲炉裏がある。音を立てているのは囲炉裏にかけてある鉄瓶のようだった。 「ここどこ…?」 思わずつぶやくと、周りに誰もいないのに女の声が聞こえる。 「うわっ!」 驚いて声をを上げる、女の声も同じように驚いた様子だ。 しかし周囲を見渡してもその声の主は見当たらない。 「あー…え?」 耳からではなく喉から頭にかけて響くような高い声… それが自分の声であるということに気づくのに数秒を要した。 「どういうことだ…?」 ズデンッ! 「ぶっ!」 事態の把握のために立ち上がろうとするがバランスをくずしてすっ転ぶ 足にうまく力が入らない。なんで俺は女の子座りなんてさせられてるんだ。 こんなムリのある座り方じゃ一発で立ち上がれるはずもない。 ていうか足になんかガーターストッキングついてるんですけど… 「…。」 それに気づいてから胸にも違和感 ふにふに 本物だ 感覚もある 「あはははは最近太り気味だったからなぁ…なんてレベルじゃねーぞ!」 相手がいないのでセルフノリツッコミ 俺様一人上手 ってそうじゃない 胸のおにくは大増量だがむしろ腰は細くなっている。 ついでにさっきから普段より明らかに長い髪がフワフワと鬱陶しい。 体にほかにも異常がある事に気づき改めて自分の姿を確認したくなった。 ちょうど都合よく部屋の壁には鏡がかけられていたので覗き込む。 手にはピンクの手袋、足にはガーターストッキング、服は紫色の法衣…? そこには自キャラそっくりのプリがうつっていた。 「どうみてもプリコスです、本当にありがとうございました。」 喋ったとおりに鏡の中のプリも同じように口を動かす。 とりあえず今の自分の姿はROの自キャラであるようだ。 だが衣装どころか中身までそれに変わっている。 常識的に考えてそんなこと起こりえるハズもない。 「よし、これは夢だな。いやにリアルだけど」 そう決めてかかることにする。でなければ説明がつかない。 それじゃあこの夢の中で何をしようか そう考えていると聞きなれた効果音が聞こえ目の前に人の姿が現れる。 誰かが目の前にログインしてきた。そう考える間もなく、俺は唇を奪われた。 男に。