再誕 -Ragnarok Online- --- (4) --- 「はふー」 合流すると彼女はため息とも何とも形容し難い言葉を漏らす。 「なかなか【ストームガスト】のLv調整は難しいだ」 そう言うと彼女も適当な場所を探して腰を下ろす。 腰まで伸ばした青い髪が、おっとりとした目元が印象に残る。 彼女は緩やかなローブに木製の杖、典型的なウイザードの姿をしている。 「はふー」 多分口癖なのだろう、しかしながら聞く度にこっちの気まで抜けていきそうだ。 出会って数時間だが同じ言葉をもう20回以上聴いている気がする。 4人組みの中では一番頼りなさそうに見える彼女なのだが、実はパーティーのリーダーだったと聞かされた時は驚いたものだ。 彼女の本当のキャラクター名はアユと言うらしいのだが・・・何故か仲間内からはしそーと呼ばれている、多分あだ名みたいなものなのだろう。 「しそー、Jさんは?」 「んー、多分そこら辺で草刈ってると思うだ・・・あ、きたきた」 見ると向こうから先程の男が両手一杯に色とりどりの草を抱えてスキップしてくる。 近付くにつれ、男の姿がハッキリと確認出来るようになってくるのだが、男は・・・言うと悪いがかなり異様な出で立ちをしていた。 確かゴブリン族の仮面と言う装備だったと思う、道化師とも見える簡素な仮面を被り・・・何故か頭には「STOP」と書かれた立て札が刺さっている。 「大漁ダネ♪」 そう言うと男---Mr.J(Jが何の略が聞いても結局答えてはくれなかった)も座り込み、鼻歌交じりに取ってきた草の色分けを始めた。 「あ、Jさん俺に白ハーブくんない?回復財が少ないんだ」 ピロシキが横から覗き込む。 「イイヨー、黄ポもイル?」 「いるいる、ブドウと交換しようぜー」 二人はそれぞれの腰のポーチから黄色い液体の入ったビンとブドウを幾つか取り出し交換を始めた。 だが実際のところ、今Jが持ってきた色とりどりの草から二人が交換しているアイテムにいたるまで、全てが立体映像によるホログラムなのだ。 身に着けているスーツから体内に流れ込む微弱な電気信号(生体パルス)により、ホログラムに触った感触や温度変化(ビンを触ってヒンヤリする)が再現される為とてもそうとは思えないが一度システムが停止すればここは何も無いただの洞窟になってしまうのだろう。 「そういえばさ。」 ナギがふと思い出した様に言う。 「皆はROからROR内に何を持ち込んだ?」