※最初に※ この規制版20話はかなりの矛盾点が存在する上に突っ込みどころが非常に多く、かつgdgdです。 要するに非常にしょうもない話になっております。 それでも構わないという方はこのまま読み進めくださいませ。  転生職のレベルアップは未転生時の3倍はかかるという。しかし、98から99を経験している 以上経験値の伸びも正直気にもならない。…その分ステータスが脆弱ではあるけれども。  メタリンを相手にチェインを振るい続け、なんとか銃器兵の必要HITまで確保することが出来 たのはそれほど時間を置いて、の話ではなかった。  転生前が転生前だったので鈍器で殴る行為はいまいち馴れない。しかし不思議なもので武器を振 るう行為は決してぎこちなさはなく、それが当然というようにオレは武器を扱うことが出来た。 「ステータスの恩恵…というか、『そういう造り』なんだよな」  自身の手を見つめながら呟く。ぎちぎちとやかましい音を奏でるポルセリオを鈍器で打ち倒し、 落ちた収集品を拾う。  前線で戦う上で克服するもの、だが、流されてはいけない。オレが倒したものには命があったっ て言うことを忘れてはならない。  ……でも。 「談笑しながら武器を振るうって、それって流されているのと一緒なんじゃないか…?」  その次の日も手伝うと言ったフィーナに、壁の約束は1日だけだったろと断りを入れたとき、レ ベル差付いちゃうよ?という台詞にオレは一笑して転生の廃装備をなめんな、と伝えておいた。  ルフェウスほどではないけれど、MEやるには高Def必須なので三減以外はそれなりの装備を 持っているし、なにより今まで使われる事のなかった別キャラの装備も倉庫に収まっている。  後は狩場にあわせて足りないものを補充するだけで充分なのだ。 「しかし、便利な武器も実装されたもんだ」  明日使う予定の鈍器、グランドクロスを手にとってしげしげと眺める。  聖属性付与されている武器は今までアコライト系が持てるものはなかった…はずだ。  今でこそ新しい武器も実装されているが、一昔前は聖属性の武器は価値が高く、一般的にその属 性攻撃を気軽に使える職といえば弓手くらいしかいなかった。  購入したグランドクロスも別に安物、というわけではなかったがオレの持っている金額からでも 充分買うことが出来る代物だ。  久々に取り出した通行証も忘れないよう法衣の内ポケットの中に入れておく。  殴りでどれだけ天津の敵に通用するかは知らないが、やるだけやってみる価値はある。  とりあえず、かろうじて狩りにはなった。  グランドクロスの元々の攻撃力と聖属性付与によって銃器兵にそれなりのダメージを与えること が出来る。あくまでも、それなり、ではあるが。  しかし、この畳ダンジョンは本当に訳のわからないところだった。  どのルートをたどれば2階に行くかは知っているのだが、その畳の部屋を3Dに見てしまうとよ くわからない。  通れると思えば突き当たりだし、壁かと思えばするりと抜けれるし。今まで行ったダンジョンの 中でもここは特に奇妙なところだった。  畳ダンジョンはINTアコの御用達マップで、所々にSP回復に努めるアコライトが居ることが 多いのだが、平日の午前中の今となってはその姿は極端に少なく、袋小路になっているその場所に 銃騎兵が溜まっていることも度々あった。  たーん、たーんと撃って来る銃弾はニューマで弾きながら1体ずつ打ち倒していけば、ヒールで 攻撃する時のようにSPが尽きるということも殆ど無い為休憩も少ないが、当然殲滅する速度も遅 くなるのは仕方の無い話だ。  それでもINTに振ってない現在のステ、基礎支援だけで息が上がるのが現状だったりする。 「はー、やれやれ」  畳部屋の隅っこに座りながらSPの回復を待つ。ニューマが間に合わず銃に撃たれた傷にレベル の抑えたヒールを掛ければ、完全に治らなくても血は止まる。後はSPの回復にあわせて、回復さ せれば問題ない。  ただ、問題なのがカブキ忍者の存在だ。テレポ不可能地域に現われる場違いな強さを持ったあの カブキ忍者はアコライトはもちろんプリーストですら容易に倒せる敵ではない。 「その為のハイドクリップなんだけどな」  すぐ取り出せるようにクリップはポケットに入れてある。 「よし、行くか」  立ち上がり、なんとなくも膝の辺りをはたく。HPもSPも全回復していた。  過去訪れた道順をなぞりながら、袋小路にも足を踏み入れ銃騎兵をさがす。雅人形も倒そうと思 えば出来なくもないが、呪いに沈黙攻撃が幾分厄介かと思い手は出さなかった。  何度かの往復の後、数度すれ違ったカブキ忍者は慌てて取り出したハイディングクリップによっ て回避することが出来た。ハイドで隠れ、距離が離れたところで一気に全力疾走で逃げるのだ。  格好悪いとかそんな事は行ってられない現状だし、人がいなければカブキ忍者から全力で逃げ出 してもタゲが移る事は無い。そもそも、畳ダンジョンのカブキ忍者と対等に遣り合えるアコライト の方がかなり希少だ。  ダンジョン内は日が差さず、時間の経過は時計のみとなっている。ちらほらと他のアコライトの 姿を見えるようになり、気が付いたら午後の5時。  片道進めば帰る時間にもちょうど良い。  長い廊下を歩きながらオレは銃騎兵の姿を探し続けた。 「…あ、クレイモアトラップ…」  部屋の一角に設置された罠がある。ハンタースキルクレイモアトラップ。しかし、この場所でこ の罠と言うのはあれが近くに居るという証拠でもある。  出来れば見つからずに進みたいところだ。慎重に歩を進みふすまをあけて次の部屋に行こうとし たその時…。 「あーーれーーー、おたすけーーー」  襖の奥から聞こえてきたのは、間延びする女性の声。なんだ?なんなんだ?? 「はっはっは、良いではないか良いではないか。アコたん(*´д`)ハアハアハア」  会話の内容から出来れば関わりたくないのだが、手に掛けた襖は音も無くすこんと開いた。 「………え、えーっと?」  部屋の状況を見てオレの思考が完全に止まった。  ……えーと。  状況をまず視覚の部分で判断しよう。  部屋はそれほど広くは無く10畳あるかどうかくらいだ。  そこに居る人物は女アコライトとどう見てもMOBであるカブキ忍者の二人きり。因みにこの部 屋は袋小路とかそうところではない。  カブキ忍者は忍者、という名称を本気で取り違えているんじゃないかと言うように見得きりしな がら、アコに迫っている。  アコライトの方もよよよ、と倒れる仕草で迫るカブキ忍者の手から逃れようとしているが、なん というか芝居がかって居るようにマジ逃げする気配もない。  次に聴覚の部分で判断しよう。  しきりにカブキ忍者は「良いではないか、良いではないか」を繰り返す。お前はエロ代官かと。  アコライトはその言葉に「あーれー、ご無体なー」と、間延びの声が狭い室内に響き渡る。  えーと。総括して。  結論:なんだこれ?  目が覚めたらROでしたって言うけれど、おきている状態でいきなり別世界ってなにそれ、新ジ ャンル?  あー、あれだ。オレ疲れているんだよ。多分それで幻聴と幻覚が見えるんだろうな。もしかして ホロン1階に下りてきて、今幻惑状態なのかもしれない。  こういうときは素直にエフェクト切ってスルーが一番だよな。  そう思って、何も無かったように回れ右をし、その場から立ち去ろうとするオレの肩をがっしり 掴んだ手があった。 「少年、悪事を見過ごすとは将来良い殿方にはなれませんことよ?」 「はい?」  つかまれた手の先から相手をなぞるように視線を上に向ければ、そこには深紅の衣装を纏ったハ イプリースト姿があった。  ファントムマスクの下にはたなびくギャングスカーフ(この当時は未実装)。燦々と輝くゴール デンヘッドギア。  はい、人の趣味にあれこれ突っ込み気はありませんが、流石にいろいろ言いたい事があります。 というか知り合いだと思われたくないんで、離れて良いですか? 「ああっ!  正義の味方ゴールデンハイプリースト様っ!!」 「なんだと!貴様があのGHP!?」  …え?え?え?? 「貴方の悪行、わたくしはこの目でしかと見ましたことよ!?  いたいけな少女を手玉に取るそのやり口!うらやま…いえいえ、許しがたく思いますわ!!」  きっ、とカブキ忍者を睨みつけるハイプリ。 「…………あのどうでも良いんだけど、いい加減、手離してもらいたいんだけど…?」  因みに現在もそのハイプリの手によって身動きが満足に取れない状況だったりする。 「…あら、失礼。うっかりあまり見ない転生アコきゅんハアハアしてしまいましたわ」 「ちょ、!?」 「冗談ですわ」  嘘だ!!ファントムマスクの隙間から見える目がマジだった!! 「…ところで、今後栗毛になる予定はございませんこと?今なら髪型変更セットが…」 「ない!断じてない!!」 「残念ですわ…。アコきゅんと言えば栗毛。栗毛といえばアコきゅんだと思いますのに」  なんとなく身の危険を感じ、慌ててハイプリの手から逃れるオレ。それを残念そうに見送るハイ プリ。 「とにかく、気を取り直しまして。  そこの悪人、今すぐその可愛らしいアコライトの少女を離すのです!!」  びしぃっと指をカブキ忍者に突きつける。 「ぬううぅぅぅ!こうなれば貴様を倒してからアコたんハアハアを再開してやる!!!  物どもかかれーーー!!!」 『イ゛ーーーーっ!!』  カブキ忍者が指を鳴らせば、妙な奇声を発した銃騎兵がわらわら現われ出す。いや、お前ら、そ れなんか違う!! 「…ふっ、それで勝ったとお思いですの?」  髪を掻き揚げハイプリが不敵な笑み(スカーフに隠れてよくわからないが多分間違いないはず) を浮かべる。  銃騎兵は銃の照準をハイプリに合わせ一斉に射撃を開始した。  にやにやと笑っていたカブキ忍者(これもマスクのためよくわからないが多分間違いない)の顔 が驚愕に歪む。 「…な、なんだと!!!?  これだけの銃弾を全く動かず弾いただと!!!?」  あー、それニューマ。 「おほほほほほほっ!  その程度の実力でわたくし、GHPに敵うとお思いですの!?」  高らかな笑い声を上げそのハイプリは天に向かって指を指した。 「所詮は烏合の衆。わたくしの足元にも及びませんことよ!?」  そして詠唱。…って、これって… 「まーーーーぐーーーーぬーーーーすーーーー……」  遅っ!!!  どう見ても遅すぎです。あー、ニューマ切れてる。って、なんで銃騎兵撃たない?なんでカブキ 忍者うろたえるだけで傍観してる!? 「えーーーくーーーそーーーしーーーずーーーむーーー!」  恐ろしく遅いMEが完成したらしく、銃騎兵の束にMEの光が包み込む。  不死の銃騎兵はMEに焼かれ悶える…って、ダメ低っ!!つか、2セットだけっすか!?  えっと、素INT20前後ですか?MEレベル2ですか?いったい何処から突っ込めば良いんです か?  2セット低INTのMEの光が消えたその時、銃器兵たちは一斉に『イ゛ーーーっ!!』と鳴き (?)その場に崩れ落ちた。 「な、なにいっ!!?  我が最強の銃器軍団を一撃で!!!」  激しく狼狽するカブキ忍者。 「おほほほほほほっ!  さあ、年貢の納め時ですわ!?覚悟なさいまし!!」  そう言ってハイプリはカブキ忍者に向かって走り出す。驚愕のカブキ忍者、感涙するアコライト。 その場に取り残されたオレ。 「動くなぁっ!!!このアコたんがどうなっても良いというのか!!?」  その時、カブキ忍者はアコライトの腕を引き寄せ、刃物をアコの頬にあてがった。 「な、なんて卑怯なマネを!!」  拳を握り締め、わなわなと震えるハイプリ。 「わたしの事は構わずに、この悪人を倒してください!GHPさま!!」  悲痛な叫び声のアコライトの声。  形勢が逆転したのが嬉しいのかカブキ忍者がハイプリに向かって「どうだ!動けまい!!」との たまい、ハイプリは「なんという悪行…許せませんわ…」と拳を振るわせる。  その時だ。いきなりオレの頭の中にハイプリの声が聞こえたのだ。え?WIS?オレ名前教えて ないよ? 『わたくしが注意を引きますわ。その隙にその手に持っている鈍器であのにっくき悪人の後頭部を 強打していただけませんこと?  貴方のような愛らしいアコきゅんに危険な事を頼むのは、とてもとても心苦しいのですが、これ しか方法が無いのです……』  弱々しい声色のそのWIS内容にオレはどう判断すべきか迷ったが、まあそれでこの茶番が終わ るならその方が良いかもしれない、と仕方なく了承した。  しかし、どうやって注意を引くというのだろうか…? 「GHPさま!!はやく、はやくこの悪人を…!!」 「どうだ、手を出せまい!!!」 「…わたくしを甘く見ると痛い目にあいますわよ!?  バジーーーリカっ!!!」  って、バジリカかよ!?そりゃびびるわ。いきなりこんなシチュエーションを展開されれば否応 なく注目されるわ。 「…な、なにいいっ!!?」  いきなりのスキルにうろたえだすカブキ忍者。あー、いまか。てこてこ歩くオレには完全アウト オブ眼中なのだろう、カブキ忍者もアコライトもこちらを見ようとしない。何事も無いようにカブ キ忍者の後ろに回り…。 「今ですわ!!」  ハイプリの声が響いて。 「なにいっ!!?」  本日何度目だよと言うくらいの「なにい」発言をカブキ忍者が発し。  ごめす。  鈍い打撃音がカブキ忍者の後頭部を中心に響き渡った。  ずずん、と大袈裟な音を立てて倒れるカブキ忍者。 「ああ。GHPさま…!」  カブキ忍者の手からすり抜けたアコライトが感極まったようにハイプリの元に駆け寄る。そのア コをハイプリはひしっと抱きとめた。 「恐ろしい思いをさせて申し訳ありませんですわ。  もう大丈夫ですことよ?」 「ああ、貴女のお陰でわたしは、わたしは…!」 「さあ、恐ろしい思いは全てわたくしが忘れさせてあげますわ。…さあ、行きましょう…」  そう言ってハイプリはワープポータルを出す。そして仲良く二人はそのポタに乗って姿を消した。 「………いったい、なんだったんだ……?」  そこに残されたのは途方も無い虚脱感と疑問を残したオレ一人。  あれから数日、変わらずに天津畳マップで銃騎兵を屠る生活が続いて。  よほどMOBの遭遇運も良かったのだろうか、程なくして転職するレベルまで達する。  毎日のように通っていたので畳マップに来るアコライトや駆け出しのプリーストの常連とも言え るキャラは大体わかってきたが、その中にはあのハイプリとアコの姿はなかった。  出来ればもう二度と会いたくないなと思いつつ、オレのジョブレベルは50を迎えた。 ---------------------------------------------------------------------------------------- 117:えーと、ここまで読んであなたの心にやるせない何かが残ると思うんだ。   ぶっちゃけやりすぎました。ごめんなさい。   正直規制いらない気もしますが、一応通常がギャグなし血とかでるからこの話を作ってみたの   ですが…   天津、畳ときたらあーこれかな、とか思ってしまったわけです。   ということで、何事も無かったかのようにto be continue でお願いします。