俺達はあのパフェの店を離れ、エリーさんの露店にお邪魔して小休憩中だ。 しかしあのパフェを食べきる光景を目の前で見れるとは思わなかった。 パフェを食べ終えた如月さんはちょっと苦しそうだが、満足した表情をしている。 だけどまだ消化しきっていないらしく動けない為に、誰かに呼ばれたルーシエさんについて行けなかったのが悔しそうだ。 俺とクラウスさん、それにフリージアとミーティアさんはエリーさんの作ったチーズケーキを頂いていた。 エリーさんの作ったチーズケーキは素晴らしく、俺達を唸らせるのに十分もかからなかった。 「食べた瞬間に口内全体に広まる芳醇な香りとまろやかさ、柔らか過ぎず硬過ぎず絶妙の口当たり。  そう、それは会場全てを引き付け魅了してしまう一流ミュージシャンの如く!  食べ始めるまでは友人との話に夢中になっているマダムや女子高生すらも、一度食べ始めてしまえば君のとりことなり、  食べ終わった頃には賛美と感嘆の声を上げ、惜し気も無い拍手で締めくくられるだろう。  材料がそれぞれの持ち味を引き出している正に食のオーケストラ!!  王道を王道のまま極限まで高めたこのチーズケーキこそ、正に至高の逸品と呼ぶに相応しい!!!」 「う ま い ぞ ぉ ぉ ぉ ぉ っ !!!」 長文説明で長々と褒め称える俺と、端的に直球ど真ん中で感想を告げるクラウスさん。 「エリーちゃんはお料理が得意で、その中でもお菓子作りには定評があるんですよ♪」 「私もこんなに美味しいチーズケーキは初めてです。是非作り方教わってみたいです。」 友人を自慢げに話すフリージアと、チーズケーキに感動したのか作り方まで聞きたいというミーティアさん。 けれど何故だろう、ミーティアさんに料理を作らせてはいけないと俺のカンが言っているのは…。 そういえばフリージアとエリーさんは初心者教習所での同期の友らしい。 フリージアには悪いがとても同期には見えない。かたやアルケミスト、かたやアコライトだもんな。 教習所卒業後はあまり合っていなかったという話だから、それぞれの資質の違いってことだろうか? しかし愛称エリーとは…偶然って恐ろしいものだな。 「チーズケーキをタルトにしたタイプもありますけど、皆さん如何ですか?」 商売が上手すぎますよ、エリーさん。 そして俺は、本日二度目の長文説明を行う事となる。