※番外編※  まるで振ってきそうな満天の星の下、酌を傾けながら先程見送った3人の事を思い出す。  ギルドの勧誘はしてみたものの、三者三様、全て「自らの意思」で断られた。  別に強要はする気は無い。この世界を自分の目で見たい意思は誰しも持っている。  それで構わない。あの者たちは道を踏み外さない。なんとなくだが、そう思える。 「あんら、ますたぁ〜、こぉんなところで呑んでるぅ〜〜〜」  呂律の回らない言動で、しなを作りながら近寄ってきたのはギルドメンバーのダンサー。  名はアフロディテと言う。  しかし、誰もその名では呼ばない。  燦々と輝くその頭に乗っているアフロ。本人曰く気合で作ったハイレベルアフロだと言っていた。 真偽の程は知らないが。  故に、そのダンサーは皆にアフロと呼ばれている。  まあ、それは別にどうでも良い。 「ねぇん、ますたぁ〜、アタシぃ、振られちゃったのよぅう〜〜」  くねくねと腰振りながら一升瓶片手に泣く振りを見、私は深くため息を付く。 「今度は男か?女か?」 「あぁん、もう、わかってるくせにぃ〜〜〜」 「フェイヨンの自治区から苦情が来ているのだ。  あまりに行動が過ぎるようだと、罰則も考えられるぞ?」  アフロディテのその手から一升瓶を掴み取り、手酌でそれを呑む。 「ますたぁ〜のいけずぅ〜〜」 「無礼講だとは言ったが、酒に飲まれるまで呑むのはどうかと思うがな」 「ところでぇ、ますたぁ〜、さっきのマッシブなBSって知り合いぃ〜〜?」 「先の戦闘時に見かけた者だ。  少々暴走気味ではあるが、良い目をしている」  思い出しながら、再び酒を飲めばアフロディテは、酔ったその目で私の方をじっと見る。 「良いおとこよねぇ〜〜?」  ……始まった。  助かったな、グレンとやら。  うっかりギルドに入っていれば、このアフロディテに追い回される日々が訪れよう。  誘った手前、その事まで気が回らない私も、酔っていたのかもしれん。 「私は、あのBSの好みなど知らぬが」  コップに酒を注ぎ。 「恐らく普通の娘を望むと思うぞ?」  一気にあおる。 「えぇえ〜〜?アタシぃ、普通の娘だもぉん」 「GV仕様の筋骨隆々ネカマが何を言っているのだ」  聞こえる鐘の音に耳を傾けながら、私は再び空を見た。 ----------------------------------------------------------------------------------------- 番外編の番外編。 -----------------------------------------------------------------------------------------  そう言えば、とケルビムは思い出す。  如月というあの忍者の胸は非常に立派なものだった。  ルーシエというプリーストの胸はささやかながらも、その姿勢は堂に入ったものだ。 「…ふ、何を考えている」  ケルビムは小さく笑って、一気に酒をあおる。  実は彼女がパッド使用者だと、その事実を知っている人間は、いない。 ----------------------------------------------------------------------------------------- 117:しんみり鎮魂祭にこんなSS書いてしまい、申し訳ないです。   他の方の書いた自キャラを見るのは、なんというか心の奥底に妙な甘酸っぱさを感じるのは何   故でしょうか。   324氏、有り難うございます。こんなのちっともお返しになってねえ、ですが_l ̄l○