「それは…一体?」 クラウスさんが聞いてくる。流石に『もう一つの狙い』までは読めなかったか。 「ここでネタ晴らしは勿体無いな。ノウンさんが来るまで待とうじゃないか。」 俺はそうクラウスさんに告げると、更に残っていたタルトに手を伸ばす。 「そういえば…フリージアとミーティアさんは何で寝てるんだ?」 「俺のペコに寄りかかって寝ているな、何時の間に…。」 さっきから気になっていた事だった。 確かさっきまでケーキの話題で盛り上がっていた筈だ。 「エリーさん、2人に何かあったの?」 俺は唯一起きているエリーさんに話しかける。 「あはは。ええと、その…」 彼女の歯切れの悪さに首を傾げる俺達。 「実は…ケーキの話題が出たので、試作のケーキを試して貰ったらこんな事に…。」 「へ?ケーキで?」 「はい。新作のラムケーキを…。」 つまりは酔っ払ったって事か。 いくら材料にお酒使っているからとはいえ、酔う程の量じゃあないだろうに…。お酒に弱いのかねえ。  ―まあ、櫓に火が入るまで、少し寝かせておいてやるか。 そんな事を考えていると、ノウンさんがこちらに向かって来るのが見える。 かかった時間は…まあ予想の範疇内って所か。 「みなさん、ただ今戻りました。」