みんなおはよう、ルクスおにーさんだよ。 みんなは鎮魂祭、楽しんだかな? 『――――――』 そうか、楽しんだか。 おにーさんも楽しんだよ。 だけどおにーさんはね、飲酒の件でマリーおねえさんに怒られちゃったんだ。 しかも3時間もお説教くらっちゃったよ。 おまけに各自それぞれ罰としてペナルティを科せられたんだ。 え、おにーさんには何のペナルティが科せられたかだって? それは… ―鎮魂祭翌日― 鎮魂祭の翌朝、俺とクラウスさんにノウンさん、フリージアの4人は朝からマリーさんに呼び出しをくらっていた。 昨日の鎮魂祭でビアガーデンで暴れた事で、朝から説教らしい。 ちなみに俺は酒を飲んだ記憶は残っていても暴れた記憶はない。 更に言えば酒を飲んだ後の記憶もない。 おかげでこっぴどく3時間も説教タイムとなりました。 説教中の話は聞かないで欲しい。…思い出したくないんだ。 あとこれは余談だが、今現在俺には二日酔いの兆候は見られ無い。 一目見て二日酔いっぽいのはクラウスさん。そういや前日まで体調不良だったもんな。 ノウンさんはそれほどではないみたいだし、フリージアはそもそも飲酒していない…よな? おっと話がずれてしまった、閑話休題。 結局の所、説教だけでは不足と各自それぞれにペナルティが科せられる事になった。 一人一人にマリーさんから直に伝えたため、どういう内容かは本人に聞かないとわからない。 俺はというと… 「ルクスさん、凄く似合ってますよ☆」 更衣室から出てきた俺を見て、フリージアが賞賛の声を上げる。 いや、俺はそんな褒め言葉は欲しくない。 「フリージア駄目よ、今は『ルクス君』ではなくて『ひかるちゃん』なのだから。」 マリーさん、これがペナルティじゃなければ乱射してますよ? 俺に科せられたペナルティ、それは 【医療所が引き上げるまでメイド服で女装 + 名前は『ひかるちゃん』で医療所の手伝い】 というバラエティ番組の罰ゲームかと突っ込みを入れたくなるような代物だった。 ビアガーデンの修理費の件もあり、断る事も出来ずに受け入らざる得なかった。 ご丁寧に胸のネームプレートにまで[ひかるちゃん]と入っていやがるし、頭装備に大きなリボン着用かよ。 はぁ、まさか自分がコスプレする日が来るとは夢にも思っていなかったよ。 「それとひかるちゃん、言葉遣いや仕草もそれ相応の物でお願いね。」 「えっ、わか…了解致しました、ご主人様。」 逆らえない為、要求を呑むしかないんだろうな。 「そういえば先程からフリージアお嬢様の格好もハイプリーストの法衣の様ですか…」 「それもペナルティよ、フレアから予備を借りてきたの。」 フレアというのは医療所のスタッフの一人で、マリーさんの古くからの友人だ。 現場のチーフ的存在で皆からの信頼も厚い。 俺も何度か話した事はあるけど、おっとりとしたお嬢さんといった感じが印象的だ。 「まだ未熟者な私が高司祭様の法衣を着用するなんて、恐れ多い事ですけどね。」 「駄目よフリージア。これは罪を償うための罰なのよ。」 反を唱えるフリージアにマリーさんが咎める口調で諭す。 それでも信仰上問題があるのか、フリージアは落ち着きがなさそうだ。 それとも聖職者と思えないような法衣だからか? というか先程から医療所スタッフの皆様からの好奇の視線を凄く感じてます。 「フリージアお嬢様ならまだしも、私は女装ですから恥ずかしいです。」 「大丈夫、知らない人が見たら絶対女性だと認識する程だから。」 マリーさん、そこに自信を持って宣言されても本気で嬉しくないです。 「それじゃあ2人とも、昼飯の買出しをお願いできるかしら?」 「ここの食事の材料は業者の配達だと認識しておりますが?」 「それがね、急に配達の人が体調を崩してしまったらしいのよ。」 嘘だ、絶対嘘だ! 「だから、お願いね。」