翌日、オレが動き出したのは昼過ぎだった。昨日遅くまで城に行っていたので必然的に起きるの が遅かった、という事なのだが、いつもなら起こしに来るのに今日はそのまま放置されていた。  昨日の件もあることだし、仕方ないと言えば仕方ない。そもそもオレ自身も心の準備も無く顔合 わせなど出来ない気もするし。  基本的にオレ達は昼間家を空けていることが多い。だから階下には誰もいないはずだった。 「おはよう」 「…あれ?」  降りてきた物音を聞いたのだろう、リビングに入ればこちらも見ずに回覧板らしきものを眺めて いるルフェウスの姿がある。 「ご飯、そこにあるから食べちゃってよ。…ま、朝ご飯の残りだから大分冷めてるけどね」 「あ、ああ」  これまた視線を動かずにす、と指をテーブルに向ける。そこには1人前の食事がそこにおいてあ った。  なんとなく気まずい雰囲気。というか責められてるような空気。  ちょっと針のむしろを感じながら、いまや昼食となってしまったご飯を食べ終わる。  片付けの間もルフェウスは終始無言だった。 「え…っと」  なかなか声を掛け辛い中、恐る恐る問いかける。 「今日ね」  そんな折、やはり目線をこちらに向けず、ルフェウスは声を出した。 「さっきなんだけど、ダークが来てね。フィーナ連れてったよ」 「…、えっ!?」  ダークがさっき来た?と言うか連れて行ったって、なんで…! 「何処に!?」 「…知らないよ」  なんで聞かないんだ、と言いかけてオレは言葉を飲む。それを言うのは八つ当たりに近い。昨日 ラルと城に言った時オレはフィーナとのPTを抜いて新たに作っていた。フィーナがPTLだった ため、オレには加入権はなかったのだ。 「オレ、ちょっと行ってくる!」 「え!?ちょっとリディック!?その…」  何かを言いかけたルフェウスの声も耳に届かず考えている余裕も無く、オレは玄関まで走り扉を 開けて……、そのままUターンして戻ってきた。 「…勢い良く飛び出すのは良いとして、ちゃんと支度しようね?」 「………わかってる………」  呆れた顔のルフェウスの前を通って自室に戻り、上着を羽織る。  こちらへの干渉は殆どないと言っても良い程の処遇ではあるものの、そのジョブそのジョブの制 服と言うものがあって、それを着ておかないとしっかり補導されてしまうのだ。 「じゃあ、行ってくる」 「うん」  仕切りなおすように玄関に向かえばルフェウスはそのまま送り出した。なんの詮索もしてこない。 『君のやりたいようにやればいい』、そう言ってる様だった。  外へ出れば、晴れすぎた空は余りに高く広がっていた。意識の片隅にプロンテラの町の風景を映 し出す。いつの間にか出来るようになっていたマップの確認。同ギルド内ではマーカーを見る事が できるのだが、意識したそのマップには自分の位置を示すものしか見つけられなかった。  彼らが何処に行ったのか予測は付かない。闇雲に探しても無駄足にしかならない。  オレは確認の意味を込めて、カプラの方に向かっていった。  たどり着いたところは鬱蒼と茂る緑。森の町フェイヨン。もしかしたら、という期待もあるのだ がそれは流石に都合が良すぎる。何よりもオレはダークの事を良く知らない。  久しぶりに訪れるフェイヨンはやはりプロンテラと違って閑散としているが、それでも土曜の午 後、それなりにプレイヤーの姿が見受けられる。  目指す場所はひとつ、RealSkyの宿舎。ダークはそのギルドに所属しているのだから何ら かの手掛かりがあるのではないかと思っていた。  ……出来るものなら、あの人はいませんように…。  ハイプリーストでありながら、余り信じていない神様に祈りつつ宿舎に向かう。  緑の合間に立てられた建物が立ち並びその一角に昔使っていた宿舎を見つけた。 「…さて」  扉を前にノックしようとして…、その直後後ろからオレの肩をぽんと叩く者がいた。 「!?」 「よーぉ、久しぶりー」 「あ、え?ああ、久し、ぶり」  誰かと驚きながら振り向けば重そうな鎧をガチャガチャと鳴らしているクルセイダーの男。Re alSkyのギルドメンバーだ。 「何?俺に会うのは不満とでも?」  動揺したものの言い方を気にしているのだろうか、クルセイダーは眉を顰めてオレを見た。 「いやいやそうじゃないって。いきなり肩叩かれたら驚くっての。  ……アフロさんだったらどうしよう、とかさ…」 「あっはっはっは、お前相変わらずアフロ苦手だよなー。あれ殆どジョークじゃん。流せ流せ」 「いや、あの、植えつけられたトラウマとかさ、オレほんとーにあの人だけは駄目なんだよ。  それくらいお前だって知っているだろう?」 「んー、確かに。アフロのストライクゾーンの中いるもんなお前。と言うかアフロのストライクゾ ーンの広さが異常なのか」 「やめてくれ、オレにはそんな趣味ねーって。…で、いない?」 「ああ、安心しろや。アフロなら『良い男がいる気配がする』とか何とか言って多分ラヘルかベイ ンスの方へ行ってる筈だぞ?」 「……そ、そっか…。それなら安心だな…」  オレは胸を撫で下ろす。あの人がいるのでは話が全然進んでくれない。 「で、何の用?呼んでも滅多に来ないお前がここに来るなんてさ」 「うん、ああ、世間話に来たわけじゃないんだよ。  ちょっと教えて欲しいんだけどさ、最近入った教授だけど。何処にいるのかな、と」 「…ダークさんの事か?あの人な、一応ギルドに入っているんだけど、拠点ここじゃないんだよ。  こっちの世界に来た時、ジュノーで家買ったんだってさ。だからそっちの方かもしれないな」 「ジュノー?」 「ああ、流石転生職だよなー。後ろ盾無くても家ぽーんと買っちゃえるんだから。  …ま、かといってこっちで転生しようなんて思わないけどな。  クルセの中でも一番被ダメの少ないAgi槍とは言っても無双出来るわけでもないし、戦ってい る時間とか考えるとぞっとするぜ。  全くケルさんといい、お前といい良くこっちで転生できたよな…。つかお前MEだってのによく 転生しようと思ったもんだ」 「…はは、ま、まあ色々事情があったんだよ」  確かに転生前の狩り方をもう一度やれと言われたらノーと答えてしまいそうだ。それだけ、こっ ちの世界のMEやVITはマゾいのだから。 「そっか、ジュノーか…」 「で、ダークさんがどうかしたのか?」 「ん?あ、いやちょっと聞きたい事があってさ。うん、サンキュー」 「別にいいさ。ま、近いうちに会えるだろうし、その時にでもケルさんやルフェウスに内緒で酒で も飲もうや」 「あの人たちの目を掻い潜るのは至難の業だと思うけどな」 「違いない」  言いながらポタを出す。ジュノーはポタメモにあるのでそのまま飛べる。 「じゃあまた」 「おう、またなー」  クルセイダーに別れを告げオレはポタに乗った。  ジュノーへたどり着いたとき、そう言えばダークの家の正確な場所を聞いていなかったことに気 がついたオレは、このシュバルツバルド共和国の首都の前でただ立ち尽くしていた。  再び聞きに戻るのはいささか恥ずかしい。それにあいつが正確な所在地を知らない可能性だって ある。  どうしたものか、と考えながらカプラの方に向かって歩き出した。  手掛かり、とは言ってもいきなり家に連れ込むとかそんなマネは流石にしないだろうし、そもそ もフィーナだって警戒するだろうし…。  と、そこまで考えてふと初めて彼女にあった事を思い出した。  何も知らない彼女を余り詳しい話もせずにオレは家に連れて行ったっけ…。 「うわっ、ちょ、ちょっとオレ、マジやばいことしてるんじゃないのか!?」  今更慌ててももう終わったことなのだが、無意識でそんなマネしていたのかと自分に驚いた。 「……そ、それはともかく…、ジュノーも歩けば広いんだし…どうしたものか…」  カプラまであと少し。ジュノーから近場の狩場に向かうのかプレイヤーの数もまばらに見える。  とりあえずジュノーのマップを意識しようと目を閉じる。 「…え?」 「『え?』…?」  声はすぐ近くから聞こえた。聞き間違えようの無いその声。目を開けてそちらを見れば、見慣れ た茶色の髪と模様の組み込まれた着物。 「…なんで、リディックさんがここに…」  呆然と呟くようなフィーナの声にオレも一瞬思考が停止して彼女を見た。まさかこんなにどんぴ しゃとは誰が思うだろうか。 「…あ」  なんとか心の整理もついてフィーナに声を掛けようとしたその時、彼女は何かに気がついたよう に慌てて走り出す。……オレとは逆の方に向かって。 「ちょ、フィーナ、待てって!」  逃げ出そうとするフィーナを追うオレ。  あれ、これって前にもあったような…、いや、あっただろうか?  そんな事はどうでも良い。  フィーナとの距離が離れてしまう前にオレは腕を伸ばし、彼女の手を取った。僅かの反動。 「…お願いだから逃げないでくれ。  ストーカーみたいな真似して本当に悪いと思ってる。  だけど、オレはフィーナに聞いて欲しいことが…」 「言わないで下さい!!」  オレの言葉を遮るように、それは叫ぶように発せられるフィーナの声。当然だ、追いかけてこん な真似したら嫌われたって仕方ない。でも、ここで引き下がるわけには行かない。 「オレは…」 「言わないで下さい。言われてしまったら私は揺らいでしまう。今までこのままでいれるようにと 思っていたのに、言われたら私はこのままではいられなくなってしまう…。いけないのに、揺らい でしまうの…」  え…?それは、まさか…。  振り向かないフィーナの肩は小さく震えていた。オレは掴んでいたその手を放す。そしてその腕 で後ろから彼女を抱きしめた。 「ごめん、フィーナを困らせると知っているのに、でもオレは言う事を我慢できそうに無いんだ。  ……好きなんだ、フィーナの事が。  自覚するのが遅くて、本当にこんな自分を呪いたくなったけど…。  でも、ずっと好きだった。  この気持ちを抑えるなんて出来そうにない」 「……軽蔑してください。私は最低です。  …罵ってください。私はあなたが好きです。あなたが他の誰かといるのを私は嫉妬してしまいま した。  私はあなたではない人と恋仲であったにもかかわらず、私はあなたに惹かれてしまってました」  震える肩、腕に落ちる水滴。  肩に手を置き、フィーナをこちらに向かせようとすれば、彼女は俯いたまま抵抗もしない。  俯いたその姿からでも判る、赤く染まった頬とそこに伝う涙が見える。 「迷惑をかけるのは知っていたんだ。  断られることも覚悟していた。  だけど、今は少し自惚れても良いかな」  その赤く染まった頬に手を触れれば、ぴくりとその身は震える。 「…顔、あげて…?」 「で、でも…」  否定をその口にしながらも、フィーナはゆっくりと顔を上げる。  濡れた瞳、困惑するその表情。否応無く自分の心音が高くなるのを感じつつ、ゆっくりとフィー ナの顔に近づいて目を閉じた。 「はい、そこまで」  パンと乾いた音が耳に届いた。口から心臓が飛び出るほど驚いて弾けるように慌ててそちらを見 れば呆れ顔の教授の姿。  え、ちょっ、え!? 「貴方方がお若いのは充分判りましたが、時と場所を考えて頂いても遅くは無いと思いますが」 「…え、えっと!?」  ダークの後ろ、遠巻きながらもこちらを見ているプレイヤーさんやプレイヤーには見えないNP Cの皆さんの姿がそこにある。  ………き、気がつかなかったーーーーっ!!!!  ええい!ヒューヒューとか言うなああっ!! 「そ、速度増加っ!!」  慌てて自身に速度増加を掛け、今だ硬直しているフィーナを掻っ攫うように抱きかかえて全力疾 走を開始する。苦情?そんなの受け付けられませんっ! 「やれやれ、恋は盲目と言いましょうか。どうしてそこまで考えに及ばないのでしょうかね」 「な、なんでっ!アンタは、並行してついて、これるんだよっ!!」  いくらフィーナを抱えてるとはいえ、速度増加の掛かったオレにダークは至って涼しい顔でつい て来る。 「ああ、これですか?世の中には便利な装備もありましてね。因みに私のはウィングセットですの であしからず」 「………」  抗議する気も失せ…と言うか思考はそこまで回らない。ただジュノーの町をひた走り町外れに向 かえば、まばらに見えてた人もその姿を消していた。 「なんで、ついてきてんだよ…」  空が間近にあるその場所で足を止め、フィーナを下ろして、ぜーぜーと肩で息を吐きだす。どき どきと心臓が鳴ってるのは走っただけの所為ではないと理解はする。  しかし、この教授なんでそんなに涼しい面してんだよ…。 「言いたい事がありまして」 「言いたい事…?」  ミニグラスを右手の中指で直しながら、小さく口元を上げてダークはオレを見た。 「貴方は私の言った言葉の矛盾に気がつかなかったのですか」 「…矛盾って…何の事だよ…」 「やれやれ、本当に気がついていない。  何故私がフィーナさんのレベル上げに貢献する必要があったのか。こちらでの狩りを『酔狂』と 言った私がですよ?  それと、貴方が忘れてどうするのですか。  ソウルリンクはリアルにはしてはいけないと言うことを」 「……あ、」 「あとこれは場合にもよりますが、レベル96のサマル型の教授が既婚と言う可能性も考えてはいな かったのでしょうかね。  サマル型は基本的にソロとなりますが、魂付与の無い条件での育成はあまり効率が良いとは言い 切れませんし」  そう言ってダークは左手をオレの前に出した。薬指に収まったシンプルな指輪。 「そういう訳です」 「な、なんでそんなマネ…」 「頼まれた…いいえ、違いますね。話を聞いて自ら志願したと言いましょうか。  この世界には効率婚という手段もあります。  何時何処で何があるかはわかりませんし、もちろん貴方にだってその話が出てくることだってあ るのですよ?  リアルのハイプリースト、見目だって悪くない。  他の誰かと婚姻を結び忘れようとするのならば、あの相手にとって非常に失礼な話ではあるかと 思いますが。  …まあ、超が付くほど鈍い貴方の事ですから、気が付かずに終わった話もあったみたいですけど ね」  え…?そ、そんな事、あったっけ…?あ、そう言えば「あんたってつまらないわね」とか「気が 付いてないの?」とか言われたような…。…あれってそういう意味だったのか! 「そういう事で発破を掛けて見た訳です。  私としても話を聞いて、こうムカムカきましてね。貴方方はお互いにそう想っているのに何故す れ違おうとするのか、これはお灸をすえねばならないと思いまして」 「なんで、アンタがそこまで思わなくちゃならないんだよ」 「……ふむ、そうですね。貴方にも会わせるべきでしょうか。  ついてきてくれますか」  ダークはそう言うとすたすたと歩き出した。何故そんな行動をダークがとったのかオレにはわか らない。彼はオレに誰を会わせようとするのか、ダークの真意を確かめるためオレは彼の後をつい ていく。  そのオレの腕をそっとフィーナが掴んだ。先程の事もあってか、ちょっと動揺しながらも彼女の 方を向けばフィーナは哀しそうなその顔で俯いている。…フィーナはこれから誰に会うのかを知っ ているようだった。  歩く事暫し、たどり着いた場所はジュノーの外れにある小さな家。クルセイダーの話によればこ こがダークの買ったという家なのだろう。簡素で飾り気の無い小さな家、初めて会った時の印象と はまるでかけ離れたその家。 「どうぞ」  そう言って彼は扉を開ける。中に入れば殺風景とも言えるほど必要最小限のものしか置いていな かった。ダークはその奥、恐らく寝室だろうと伺える扉を開く。 「ただいま」  窓から差し込む光は室内を照らす。部屋の奥にあるベッド。そこに横たわる女性。 「今日は客が多くて驚いたろう?」  ダークは女性に向かって声を出す。そちらからの反応は全くない。 「……この人、は…」  その姿は余りに異常に見えた。虚ろな瞳は虚空に投げ出し、その女性はただただそこにいるだけ で、他には何も無い。  オレの言葉にダークはこちらを向き、小さく微笑む。 「この世界の私の妻です。ご覧の通り彼女には意思が存在しない。それもそのはずです。  彼女は私の2PC、つまり彼女も私自身、と言うことなのです」 「え、ちょっとまて。そんな事が…」  いくら2PCでもメインとなる教授がいる以上、この女性がこちらに現れると言うのは不自然な のではないか?作ったキャラの誰がこっちの世界に来るかなんて選べるわけじゃないが、それでも 稼働時間の長いキャラが来るとするならば、その差異で二人同時なんてそんな事は…。 「私と彼女は同じ時を動いているのです。狩場に放置、と言う手段もあったのでしょうが私はそれ をしなかった。追従させ、共に戦っていた。だから、なのでしょう。こちらに来た時傍に彼女がい た。  でも『私』がここにいる以上彼女は目を覚ますことはない。彼女も『私』なのですからね」  ダークのその表情は哀しげに見える。女性を見るダークのその瞳は優しげで、そして哀しげで。 「私もね、現実の世界には恋人がいるんですよ。元の世界に戻りたい、というのは私も強く思って います。  でも、この世界の『私』は彼女の夫であり、そしてナルシストかと思われても仕方ないかと思い ますが、私は彼女を愛しています。  歪んだ愛情だとは知っています。  だから、だからこそ、私は貴方方が恨めしかった。お互いを意識できるのに何故離れようとする のか。  お互いを認識し、お互いを理解しているにもかかわらず、何故その心に厚い壁を作ろうとするの か。  現実、それも確かに大切です。  ですが、この世界に来て貴方方はどれだけの時を過ごしましたか?  その心の亀裂はどれほど裂け広がっていますか?  せめてこの時だけでも満たされようと思うのは罪なのですか?」 「………」  それは訴えるような真摯な言葉。 「背徳、そう思うのも仕方ないとは思います。  ですがこの世界は余りにも苦境です。  私はまだ大丈夫なのです。生きるための資産さえあればそれだけで生活は出来る。  ですがフィーナさん、貴女は違う。  ゲームでのオーラはただ時間さえあれば成せますが、この世界ではそれだけでは出来ない。  ご自身の心に正直になっては如何です?  貴女だって、彼が他の女性と結ばれるのを快く思わないのでしょう?  戦う苦しみを共に分かち合う相手がいても、良いのではありませんか?」  フィーナは答えない。その手を握って床を見る。 「…リディックさん、貴方が繋ぎ止めておきなさい。貴方にはそれをする義務がある。  ご自分で言っていたでしょう?  その心を抑えることが出来ないのだと。  貴方は今までの清算を払わなくてはいけない。  違いますか?」  ダークの言葉にオレはフィーナを見た。食い入るように床を見つめる彼女。今までの関係は崩れ てしまうかもしれない。だけど、彼女が本気で断らなければ…。 「わかってる。…わかって、いる」 「本来ならばこれほど苦労することなど無かったはずなのです。  偶然、この姿で来てしまった。  お陰でいらない手間を増やさせてしまった」  ダークは自嘲気味に小さく笑う。その言葉にオレは何かに気が付きダークと、その女性を見た。 「……この人は、もしかして…」 「ええ、貴方の考え通り彼女は…」  ダークは女性に向かって手を翳す。小さく紡がれるその音。蛍の光の様に青白い光の粒が部屋を 舞った。 「レベル99、ソウルリンカー。  本来ならばリアル達を現実の世界に戻すことの出来たはずの女性」  見間違うことの無い青白いオーラの明りは横たわった彼女から溢れるように広がっていた。 ----------------------------------------------------------------------------------------- 117:一言だけ言わせてください。   自分、ラブラブ展開無理だと気が付いた今日この頃。   すいません、これが限界です。書きながらもんどりうちました。   それだけなら良いんです。一回書いちゃえば後は推敲だけで後に冷めた目で見れますので。   ですがなぜ、よりによってこの回で保存ミスの全消去してしまいますか?   これはいわゆる羞恥プレイと言うものでしょうか。   別の話ならまだ平気なんだ…、なんで、これで…_l ̄l○