ひかるちゃんになって二日目。今日は皆、朝から慌しく動いている。 というのも、朝のミーティング時にマリーさんから医療所撤退の話が出たからだ。 その際に俺が聞き取れた内容は以下の通り。 ・三日後(明々後日)フェイヨンより撤退し、王都で最終報告を行う。 ・スタッフは基本王都まで同行し、翌日解散とする。ただし希望するなら、フェイヨンや王都到着時に解散も可能。 ・動ける患者は撤退日に退院とし、当人の希望があれば王国内の主要都市へのポタ転送が受けられる。 ・集中的な治療が必要な患者のみ、別な医療施設に移動とする。 ・給料、交通費等はカプラ職員を通して振込支払とする。受け取りは明後日以降。 ・その他質問事項があればマリーさんまで。 そういう訳で、今日からは通常業務に加えて撤退準備の為に朝から働き詰めだ。 患者への説明及び意思確認後、移動先への人員報告さえ終われば書類上の手続きは完了する。 撤退で一番大変と思われる荷物の梱包・搬送は、商人ギルドの手を借りる事で目途は立っているらしい。 ただし各スタッフの荷物に関しては個人管理だから自分でやれという事らしいが…まあ仕方がない。 後は各方面への報告書ぐらいだが、それについては俺が手伝える範疇を超えている。 その為、俺は朝から倉庫内の荷物の整理と梱包に追われている。 一言に倉庫整理といっても、需要が高い荷物は入り口付近に、使わない荷物を奥にと、 梱包した箱をそれぞれ判るように並べ、重ねるのは結構大変だったりする。 倉庫内の目録を貰っていたとは言え、そんなに広くない倉庫内で梱包済みの荷物の出し入れは思った以上に重労働だ。 そう、その様は正に倉○番! 「誰だよ、こんな所にツーハンドアクスなんか置いたのは…。こっちには空き瓶の山?ああもう、袋から溢れているじゃないか。」 単調なのに頭脳労働もかねているため、ついつい独り言がでてしまう。 「まったく、この空き瓶どれだけあるんだか…」 そう言いながら空き瓶が詰まった袋を持ち上げようとした所― 『重量オーバーです。アイテムを拾う事ができません。』 「!?いま何かウィンドウにメッセージが表示された気がする…袋も重くて持てないし…。」 試しにもう一度、空き瓶が詰まった袋を持ち上げようとしてみる。 『重量オーバーです。アイテムを拾う事ができません。』 「…本当に誰だよ、こんなに空き瓶溜め込んで置いといた奴は…。」