* * * * * * * * * * 「ちぃーーーーこぉーーーーーくぅーーーーーだぁーーーーーー!!!!!」  日の昇りきった早朝のフェイヨンに女性の声が木霊する。何を隠そうその声の主は私なのであるが。  夜中に一度起きたものの、再び眠りについた私は持ち前の朝の弱さもありすっかり寝過ごしてしまった訳だ。  昨日までは同室の如月やエル、フリージアが起こしてくれたりしてたのだけど今朝からはこちらの自宅。  身体のほうも朝が苦手なのは今までの生活で分かりきっていたことだが、すっかりお寝坊さんである。  本当にこの身体は聖職者なのか?  レナも私と一緒で朝は弱いらしい。私がどたばたと準備していても目覚める気配はなかった。  仕方がないのでそのまま寝かせて家を出てきたが・・・。    大急ぎで身支度したおかげで化粧は出来てないし髪はあちこち跳ねてるが整える余裕もない。  女の身体の身支度に時間が掛かるのはわかっちゃいたがこの状況は予定外っ!  しかし、まさかBSの服でよかったと思う日が来るとは思わなかった。  なんという動きやすさ。ラフな格好は伊達じゃない。  でもガンドレッドが地味に邪魔だっ!  全力で医療所にたどり着いたときはすでに朝の朝礼は終わっていた。 「ごめんなさいぃぃ。遅刻しましたぁぁああ!」  息を切らしながらマリーさんに頭を下げる。 「仕方ないわね。まぁ、あなたは協力者なわけだし固いことは言わないわ。」 「すみません・・・。」  怒られはしなかったものの片身が狭い。逆に怒ってくれたほうが楽だったかも・・・。  私ががっくり肩を落としているとマリーさんが告げる。 「みんなはもうそれぞれの仕事をしているわ。あなたもお願いね。」 「わかりました・・・。で、何をすればいいですか?」 「医務室のほうに薬なんかを入れていた空き瓶が沢山あるのよ。それを倉庫のほうに持っていってもらえるかしら? その後は昨日のように各部屋の片付けに回って頂戴。」  私は言われたように医務室に向かう。  そこで私が見たものは……袋から溢れんばかりの空き瓶だった。 「これ・・・持てるのか?」  袋を持ち上げてみる。  重量が90%を超えました。  なんか今見えたぞ!?  …気のせいか?  速度増加を自分にかけて移動速度を上げようと思ったがスキルが使えない。  確かにこの状況では何もできそうにはない。術式を組む余裕もない。重量が90%を超えるってのはこういう事か。  私はふらふらと空き瓶の詰まった袋を持って倉庫へと向かった。  倉庫に入ると入り口から少し入ったところに空き瓶を置いた。  話を聞く限りここでは別の人が片づけをしているらしい。  見回してみるが誰も居ない。……いや、いた。奥のほうで誰かが片付けをしているようだ。    声をかけてみるも気付いた様子はない。  仕方がないので空き瓶を置いて私は倉庫を出た。  私は前日に一緒に部屋の片付けをした班と合流し、部屋の片付けを始める。  やはりSTR不足気味なのか重宝されるがその分大変で仕方がない。  それでも必要とされることに悪い気はしない。  部屋を片付け荷物を外に出すと次々に商人ギルドの人たちが運び出していった。  やはり本業は違うな。クロ○コヤ○トやペ○カン便もびっくりだ。    途中休憩を挟みつつ、夕方には部屋の片付けは無事終了した。  夕食の時だった。  留守番していたらしいレナが仕事が終わるのを見計らって医療所に来ていた。  今日も食堂で食事を取ることにし、食堂へ向かうとすでに食事を終えた人々が食堂から出てくるところだった。  明日で撤収作業は終わるだろう。  見たところほとんどの人は元気になっている。このまま行けば特に問題もなく引き継ぎ作業も終わるだろう。  そしてその後は・・・・。