================================================================================ ○バックナンバー○ ・「ニーナと愉快な仲間達」編 http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0090.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0093.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0096.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0097.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0098.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0099.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0100.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0101.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0107.txt ・「アルデバラン」編 http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0110.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0113.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0116.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0119.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0122.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0124.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0127.txt ・「特務」編 http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0130.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0139.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0146.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0149.txt (おまけ)http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0162.txt http://yumemachi.s148.xrea.com/craft2/upload/src/up0163.txt ================================================================================ 「あ、こんばんわ〜!」 フィリアの部屋を訪れると、彼女は明るく挨拶をしてくれた。 「お久し振り〜♪お仕事は順調?」 手をぱたぱた振りながら挨拶を返す。 自分の部屋に戻ってきたのが三週間振りなら、フィリアと会うのも三週間振り。 「うふふ、そのことだけど話したいことが!ま、入って入って!」 やたら嬉しそうに部屋に入るよう促すフィリア。 「どうしたの?」 不思議に思いつつも部屋に入り、紅茶を勧められる。 「実はぁああああぁぁ!この度ぃいいぃぃいぃ!!アルケミランク10位になりましたああぁあ!!!」 顔を真っ赤にして言うフィリア。 「おお!それはすごいっ!おめでとー!!」 まさかの報告に驚く俺。頑張りを知っているだけに嬉しさも倍増だ。 「これもニーナとスーさんが応援してくれたおかげ!本当にありがとう!!」 涙がちょちょぎれるとはこんな感じだとばかりにうるうるする彼女。 「で、お礼を用意してたの!でもなかなか帰ってこないから心配してて…」 そう言いながら奥の部屋でごぞごそし始める。 「いやー、気にしないでいいよー。フィリアの頑張りの賜物なんだし…」 俺の言葉が届いたか分からなかったが、しばらくしてフィリアは大きな段ボールを3箱ほど運んできた。 「はい!ホワイトスリムポーション頑張って作っておいたの!使ってね♪」 胸をどんと叩くフィリア。段ボールの中を見ると、細い瓶がぎっしり詰まっていた。 「うわぁ、すごい量…。いいの、これ?」 金額にすればかなり大きな額になるだろう。名声ものならなおさらだ。 「し、か、も!これ見てこれ!」 フィリアは俺が見ていたものとは違う段ボールから、薄っぺらいシートを取り出した。 「新商品!ホワイトシートポーション!!」 自信満々に言うフィリア。 「へ、何それ…?」 うさんくさそうなネーミングに少し引く俺。 「傷口にぺたっと貼り付けると怪我の治りが早くなる!現在特許申請中!!」 …更にうさんくさそうなことを自信満々に言ってる。 「じゃ、あれだね。フィリアが伝説の錬金術師になって魂スキルで呼ばれたら… 『シートファーマシー使用可』…とかになるのかな…。なんというか……地味ね…」 それを聞いてぶーたれるフィリア。 「ぶー。そんなこというニーナにはこれもつけちゃうぞ!!」 そう言いながら奥から黒い液体の入ったビンを持ってきた。 「これぞブラックポーション!!」 見るからに毒々しい色をしている。 「うっ…ちなみにその効果は……?」 俺の質問に、彼女は何も答えなかった。 とりあえずスーさん宛に書いた手紙を渡し、ポーションの詰まった段ボールを自分の部屋に運ぶ。 フィリアは段ボールの1箱を部屋の中まで運んでくれたが、明日の早朝に仕事があるというので 早々に帰っていった。 ドアが閉まった後、ベッドに転がって天井を眺める。 「明日からまた別の任務かぁ……。」 ふー、と大きく深呼吸をする。 ここ最近ターゲットの騎士を追っていたが、今日の昼ごろにようやく確保して終わりを迎えた。 しかし予定が詰まっているらしく、次の任務は明日から。 ただ、それが終わればしばらく任務は無いらしい。 「次は早く終わればいいなぁ…。特務の任務ばかりしててもしょうがないし…。」 ぼそっと言い、寝返りをうつ。 そう、俺にはニーナを助けるという目標がある。 特務の任務から手がかりを探そうとしたが、今のところ何も進んでいなかった。 写真に写っていたハイプリ…ステラが亡くなっているということだけは アキから聞くことができたので、収穫が全く無いということも無かったが…。 「あ、でも亡くなったことしか聞けてないんだよなぁ…、それ以外は教えてくれないし。」 そう、アキはステラのこととなるとすぐに話を逸らしていた。何故かはもちろん分からない。 アキ以外にステラのことを聞いても誰も知らない様子だった。 聖堂関係者をあたってみるという手もあるが、特務の任務の関係で今は時間が無い。 「次の任務が終わったらしばらく時間が空くみたいだし、そのときに調べてみるかな…。」 なんとなく方向性を確認できた途端、睡魔が襲ってきた。 しかし、夜が明ける前に目が覚めた。 「……うあ、まだ4時かぁ…。」 時計を確認して改めて寝ようとするも、なかなか寝付けない。 仕方ないので起きることにする。 早々に着替えを済ませ、ぼけーっとしてると隣の部屋から物音がした。 「ああ、そういやフィリアも朝早いって言ってたなぁ…。」 変わらずぼけーっとしながら座っていたが、どうにも隣が慌てふためいてるようにしか聞こえない。 フィリアの部屋の前に行ってみるとやはりドタバタしていた。 「フィリアおはよ〜。大丈夫〜?」 ノックしながら静かに声を掛けてみると、フィリアが困った顔をしてドアを開けた。 「あああああ、ちょうどいいところにっ!!」 うるうるした彼女がそう言う。なんか恒例だなぁと思う俺は負け組? 「どうしたの?品物足りなかった?遅刻?」 ランカーのアルケミスト様に言う台詞では無いと思ったが一応聞いてみる。 「りょ、両方です><;;」 予想外の答え。 結局2時間ほど製薬のお手伝いをした後、ワープポータルでプロンテラに送ってお客さんに平謝り。 頑張るのはいいんだけど、もうちょっとスケジュール管理をだね…。 「はぁ、もうニーナにはお世話になりっぱなし…。」 どよーんという文字を後ろに背負いながらうなだれるフィリア。 「頑張れ…というか頑張ってるのは知ってるけど……頑張れ…。」 もう何と言っていいか分からない俺。 「はぁ、ニーナいなくなったら私もう終わりだよねー…。」 うなだれ続けるフィリア。 むしろ俺がいるときだけおバカキャラになってるのは気のせいだろうか…。 しばらくの間。 「あ、そういえば昨日ニーナの部屋に入ったとき、写真が2枚あったけど…だれ?」 ふいにフィリアがそんな質問をしてきた。 「あー…。一枚は前見せたやつだけど…もう一枚は、アルデバランに戻る前に知り合ったお友達…。」 ユキさんのことだ。そういえば今いるところの近くの写真屋で撮ったっけ。 「ふぅん…じゃ、私たちも撮ろう!うん、それがいい!」 何故か張り切る彼女。 しかし……。 「いやぁ、何か…写真撮るとお別れな感じだから……なぁ。」 ステラは死別。ユキさんとはもう会えない。 「う〜〜〜〜〜〜〜。」 不満そうなフィリア。 「でも!会える人と撮るのも素敵だけど、もう会えない人と撮るのも大切じゃ……」 そう言い掛けて、彼女は口をつぐんだ。 「うーん、…難しいね!」 困ったように笑ってこっちを見る。 「あー…うん、ごめん…。じゃ、今日は撮ってる時間無いから、次帰ってきたときにでも!」 俺がそう言うとフィリアは嬉しそうに笑った。 正直男のときにこの笑顔を向けられてたらたまんなかったZE☆ 広場の時計を見ると、そろそろ8時半。今日は大聖堂に9時集合ということだったので そろそろ向かわないといけない。 「じゃ、そろそろ行くね。時間できたらアルデバラン戻るからー…」 フィリアにそう言うと、彼女は寂しそうに笑って見送ってくれた。 まさか、今生の別れじゃあるまいし───────… そんな考えが頭をよぎる。 変なフラグが立っていないことを確認したかったが、どこにも見当たらなかったのできっと大丈夫。 -------------------- 2008/07/21 H.N